2018/07/17

ただ歩くだけでは不十分!?高齢者はウォーキングで筋力を維持できるのか?
その他

元気な高齢者の方に「足腰を鍛えていますか?」と尋ねると、多くの方は「いつもウォーキングをしています」と答えます。
果たして、ウォーキングは足腰の強化に効果があるのでしょうか?

今回は“高齢者の筋力維持・アップ”の視点から、『ウォーキングは運動なのか』考えてみたいと思います。

高齢者に人気のウォーキングだが…

ウォーキングは幅広い世代に人気の趣味。
特に高齢者、いわゆるシニア世代にとっては次のような理由から人気の高い運動といえます。

●無理なく取り組める
●身体への負担が少ない
●長時間行っても疲れにくい
●特別な道具を必要としない  ・・・等


しかし、特に意識せず、ただ歩くだけではごく一部の筋肉しか動いていないのも事実です。

若者は歩く際、大腿四頭筋を使い、足を大きく開けて歩きます。
大腿四頭筋は太もも前面にある大きな筋肉で、『歩く』『走る』はもちろん『立ち上がる』等、さまざまな動作時に使う重要な筋肉です。私たちは日頃、特に意識せず、この大腿四頭筋を使い動作しています。

しかし、人は老いるに従い、歩幅の広い歩行が困難になります。
道行く高齢者の方を思い浮かべてみてください。狭い歩幅で、膝をあまり曲げずに歩いている姿をよく見かけるはずです。


多くの高齢者は加齢とともに“大腿四頭筋を使う歩幅の広い歩行”ができなくなり、関節で身体を支えながら歩く“小股歩行”や“すり足歩行”へと変化していくのです。
高齢者が比較的長い時間ウォーキングに取り組めるのは、それだけ身体に負担がかかっていない歩き方をしているから、ともいえますね。


そのため先の「ウォーキングは足腰の強化に効果があるのか?」に対する私の返答は、「ウォーキングは運動とはいえるが、筋力をつけることは難しい」という結論になります。

筋肉をさほど使わず、散歩の延長線上の感覚でウォーキングを長期間続けていても、歩行の改善や足腰を鍛えるほどの筋力アップは望めないのです。

自動運動で筋肉アップ?

ちなみに運動には『自動運動』と『他動運動』があります。
それぞれ以下の通りです。

■自動運動:
高齢者や身体障害者が自ら、関節運動を行います。自身で動きをコントロールできるメリットもあります。

■他動運動:
高齢者や身体障害者の関節を、理学療法士などが助力する形で関節の可動域(動く範囲)を広げたり、維持したりする運動のひとつです。



高強度でやるウエイトトレーニングも、ウォーキングも、同じ自動運動です。しかし、自動運動を行えば筋力がつくかというと、そう単純な話でもありません。

人間の身体は環境に適応しようとします。
以前のコラム『高齢者の筋トレで意識したい3つのポイント』でも書きましたが、マラソンのトップランナーは過酷なトレーニングを行いますが、筋肉はさほど発達せず、かわりに血管が太くなり心肺機能が強くなっていきます。
一方、ボディビルダーの身体は筋肉が肥大化します。

これは、ランナーは心肺に、ボディビルダーは筋肉に高負荷をかけるトレーニングを積み重ねるから。一言で運動といっても目的に応じて必要な手段も異なります。

筋力アップには“筋トレ”が有効

目的が“筋力維持・アップ”の場合は、ウォーキングより筋トレ(=筋肉トレーニング)が有効です。

特に「筋力を上げる」「歩行能力を上げる」ためには、筋肉に高負荷を低容量でかける運動が向いています。

手軽に行うなら、身体ひとつで取り組めるスクワットがおすすめ。
高齢者・介護施設の方々が、ご利用者の身体状況を加味したうえで、取り組みやすいペースや方法を見極めて指導してあげてください。


心身ともに健康でもう少し本格的に取り組みたい、という方はリハビリマシンの活用をおすすめします。

例えば、わが社のタートルジムシリーズの中では『レッグプレス』『レッグカール』などが最適です。

レッグプレス
立ち上がり動作や階段の上り下りで足を上げる筋肉を効果的にトレーニングするリハビリマシン。トレーニングを続けることで、椅子からの立ち上がりや階段の昇り降りなど日常動作の改善が期待できます。

レッグカール
座った状態で、膝を曲げ伸ばしする運動で歩行に必要な筋力と可動域を改善します。トレーニングを続けることで、歩行時に太ももを高く上げやすくなり、つまずきにくくなります。


レッグプレスやレッグカールを使って全力に近い、例えば90RM(=90Repetition Maximum)程度の筋力負荷を設定し、筋肉が疲れるまでやるのが良いでしょう。


ただし、オーバーワークになると危険です。
個人の身体状況をふまえ、頻度と容量には十分注意してください。

最後に

ウォーキングは筋トレには向かないと言いましたが、ウォーキングを行う利点は他にたくさんあります。

日光にあたり外の空気を吸うことはリラックス効果につながるのはもちろん、生活のリズムを整えるうえでも有効です。
また、外を歩けば人と接する機会も増え、生活にハリや変化が生まれるはず。家に閉じこもっているより身体や心に良いことは明らかです。

筋力維持・アップは筋トレで実現するとして、別の視点で日々のウォーキングを楽しんでいただくことをおすすめします。






江崎健太郎の画像

記事執筆:江崎 健太郎

代替医療・予防医療機器の販売メーカー、江崎器械株式会社 代表取締役
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務める。
EXERCISE & AGEING分野のスピーカーとして講演を行なう。

はじめよう! 高齢者向けトレーニング

多くの高齢者施設で選ばれているタートルジムマシン。 選ばれて納入台数 約1,000台(300施設)選ばれる理由をぜひご体感ください!

トレーニングマシンをチェックする

導入でご不明な点はお気軽にお問い合わせください!

  • お問い合わせはこちら
  • 0120-880-497 [受付時間]平日 9:00~18:00