2017/11/08

これからのサービス提供の在り方~地域包括ケアシステムの推進~
その他


「地域包括ケアシステム」

このコラムを読まれている皆さんなら、既にこの言葉はご存じですよね。

国が目指す“高齢者自身の自立生活”の実現へ向け、地域ぐるみで高齢者を支えていこうという施策が『地域包括ケアシステム』です。

そこで、ここでは、高齢者を取り巻く新しいシステムの推進に至った背景とポイント、さらに課題について改めておさらいをしてみたいと思います。


『地域包括ケアシステム』の背景とポイント

総務省統計局によると、日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口割合)は「27.7%」です【2017年9月時点】。つまり、総人口の“4人に1人”以上が65歳以上であることを表しています。そして、これは、2025年頃には「30%」を超えると予測されています。このように高齢化率の急速な進行、つまり少子高齢化は大きな社会問題となっています。

そこで、その対応策の一つとして厚生労働省が現在推進しているのが『地域包括ケアシステム』であります。地域包括ケアシステムは、2025年を目途にその確立を目指しています。

地域包括ケアシステムとは、高齢者がこれまで通り住み慣れた地域で“自分らしい暮らし”を最期まで続けられるよう、市区町村が中心となり『住まい』『医療』『介護』『生活支援・介護予防』をまとめて提供していくサービス体制です。

これまでは“国”が主体となって提供していた高齢者に対する各種サービスが、これからは“地域単位”で高齢者を見守り支え合うシステムへと変革していくことを目指すことが地域包括ケアシステムの目的であります。


高齢者ケアの場が「施設から在宅(=地域)」へ

地域包括ケアにおいては「高齢者ケアの場は各種施設から在宅へ」が目標のため、これまでのように施設や病院に長く滞在することはできなくなり、できるだけ早いタイミングで自宅(あるいは地域のケア付き住宅)に戻ることが求められます。

実際、ケアの現場では増え続ける高齢者(=要介護者)を前に入所型施設とそのスタッフの数が追いつかず、年々、施設への入所は難しくなっています。
加えて、2018年度 診療報酬・介護報酬のダブル改定により介護保険によるリハビリテーションのあり方がよりシビアに問われるようになれば、これまで以上に各施設への入所・入院は難しくなるでしょう。

そういう意味では地域包括ケアシステムへの移行は必然の動きで、在宅ケアへの期待は大きいといえます。

地域包括支援センターの役目

地域包括ケアの取り組み内容は全国一律ではなく、各地域の高齢化がピークとなる時期を見越しつつ、“地域の実情”を考慮しながら地域単位で計画する必要があります。

そこで、この取り組みをスムーズに推進するための中核機関として各地域に設立されているのが『地域包括支援センター』です。

地域包括支援センターには、「保健師or看護師」、「主任介護支援専門員(ケアマネージャー)」、「社会福祉士」の各専門職が必置要件となっており、それぞれの専門職同士が日々連携を取りながら地域の高齢者への支援サポートを提供しています。


地域包括ケアシステムの課題

今後のサービス提供体制として期待の大きい地域包括ケアシステムですが、真の意味で高齢者一人ひとりに寄り添うには課題が多いのも現状です。では、具体的にどのような課題があるのでしょうか。


1. どう図る?『医療』と『介護』の連携

高齢者を取り巻く要素として『医療』と『介護』はとても重要な要素ですが、連携という意味では不十分な状態であり、それぞれの領域の視点のみで高齢者の状態を把握していることが多々見受けられます。

しかし、地域包括ケアシステムでは、これまで以上に『医療』と『介護』の連携が期待されています。

したがって、このような現状だからこそ、先述した『地域包括支援センター』が医療と介護の橋渡しとして機能することが求められてきます。両者が互いの立場から情報発信・交換できる機会を得ることにより、本当の意味で機能する連携体制を構築することが重要になります。



2. 地域格差を埋めるための体制整備

そもそも地域によって高齢者を取り巻く環境が異なるため、地域間で支援計画に格差が生じやすくなります。

しかし、サービスの受け手である高齢者やその家族にとっては、より質の良いサービスを受けたいと考えることは当然のことです。

したがって、サービス提供者は利用者に「最期までここで暮らしたい」と実感して頂けるように、自分たちの地域の実情に合った取り組みを計画する必要があります。



3. 目指すことは“少しでも長く自分で動く・動ける”高齢者になること

地域包括ケアシステムの推進は、介護予防とも無関係ではありません。なぜならば、高齢者が出来るだけ長く元気で過ごせるよう、そして、なるべく介護を必要としない期間を長く保てるよう、早い時期から予防策を打つことが大切となってくるからです。

つまり・・・、「できるだけ長く自立した生活を送るために」

そのためにご自身はもちろん、周りの家族や施設スタッフもまずは高齢者の生活の質(QOL)を低下させないように、そして、それを高めるためにはどうすべきか常に心掛けましょう。

具体的には、栄養面を考えた食生活に気を配り、日常的に運動やリハビリテーションに取り組むことが必要です。

したがって、運動やリハビリテーションについては、このコラム内でもトレーニングに対して低下しがちな高齢者のモチベーションアップにつながる方法や、高齢者の筋トレで意識したいポイントなども掲載していますので参考にして頂けると幸いです。

目指すは“少しでも長く自分で動く・動ける”高齢者

国は、地域包括ケアシステムを推進することにより、現在増加傾向にある社会保障費を少しでも低減させることも大きな目的の一つとしています。

つまり、このシステムが真に機能する施策になりうるかどうかということは、わが国の未来に大きく影響することであります。したがって、私たち一人ひとりはそのことをしっかりと認識しておかなければなりません。







江崎健太郎の画像

記事執筆:江崎 健太郎

代替医療・予防医療機器の販売メーカー、江崎器械株式会社 代表取締役
2019年より、WCEM(WORLD CONFERENCE ON EXERCISE MEDICINE:世界運動療法学会)外部委員を務める。
EXERCISE & AGEING分野のスピーカーとして講演を行なう。

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